インタビュー | 株式会社ヒューマンデザイン 石川聖子さん


株式会社ヒューマンデザインは、1987年の音楽座ミュージカル設立以来、良質なオリジナルミュージカルの公演を全国で実施。また、学校公演やワークショップ、企業研修なども幅広く展開し、コロナ禍でのオンラインプログラム公開など新たな取り組みにも意欲的だ。同社の取締役でありチーフプロデューサーとして指揮を執る石川聖子氏に製作者としての想いを伺った。

 

取材日:2025年10月17日

取材・文:上村由紀子

子どもの反応に大人も呼応

 

――対象公演である音楽座ミュージカル『リトルプリンス』は長く愛されている作品です。今回の客席の反応など教えていただけますか。

 

大人のお客さまに加え、お子さんも多くご来場くださいました。『リトルプリンス』は原作が『星の王子さま』(サン=テグジュペリ作)ということもあり、哲学的なせりふなども多い作品ですが、今回はギャグを挟んだりして、あえて少し軽いタッチのバージョンを上演したんです。客席の子どもたちはそれを受けてとても素直に反応し、元気に笑ってくれました。すると、大人たちにも「このミュージカルは笑っていいんだ」との空気感が伝わり、非常にポジティブな雰囲気のなか、公演を実施できたと思います。

――助成を受けていかがでしたか?

特に首都圏以外での公演には費用がかかりますから、助成を受けたことにより経済面でとても助けられました。ミュージカルはお金をかけようと思えば際限がない分野なので、オリジナル作品を製作する際はどうしても予算の壁にぶつかって、頭を悩ませながらいろいろなことを削らざるを得なくなります。今回、助成していただいたことで、クリエイティブ面で可能になったことも増え、とてもありがたいと感じました。

 

◯観客層を広げ育てていくこと

 

――ヒューマンデザインが運営する音楽座ミュージカルは町田市に専用の稽古場と装置や衣裳の倉庫を保有していますね。

 

正確にはグループ企業に賃貸料を支払って使用しているのですが、専用の稽古場や倉庫がないと、オリジナルミュージカルの製作は立ち行かないと感じます。装置や衣裳に加え、舞台の生演奏で使う楽器や照明機材なども大量に格納していますから。それらの維持に加え、俳優たちが時間を気にせず稽古できる場所がつねにある状況は、私たちにとって必須です。

――外部のディレクターが撮影したYouTubeの動画も話題になりました。これはやはり集客への効果を期待してのことでしょうか。

音楽座ミュージカルを多くの方に知ってほしいとの想いに加え、より多くの方に劇場にお運びいただきたいとの願いもありました。集客って本当に大変で、これを楽にクリアしている劇団や主催企業はほぼないと思います。私たちの場合、専業の営業職を置いていないため、広報や宣伝、営業活動も俳優たちが担うスタイルです。そのため、集客につながる広報や宣伝の方法については今も模索している状況で、YouTubeは新たなトライということで撮影していただきました。すぐ結果が出るものではないと思いますが、音楽座ミュージカルファン以外の方たちからもいろいろなコメントをいただいて、中にいると気づかなかったことなどをあらためて認識している次第です。

――地方創生プログラムとして市民ミュージカルなども実施されていますよね。

私たちが各地域に出向いて、ワークショップやアウトリーチなどをおこないながら、音楽座ミュージカルの作品をその土地の方たちに上演していただく「音楽座ドリームシアター」を実施しています。前回は4、5歳から70代の方まで100名以上の方にご参加いただきました。小さいころからミュージカルなどの作品に触れていると、舞台鑑賞がライフスタイルの一部になりますので、この活動も新しいお客さまとの出会いのひとつだと考えています。

――チケット代についてはいかがでしょう。特にミュージカル作品は製作費の関係で値上げ幅が大きくなっていますが。

そこも頭の痛い問題ですよね。音楽座ミュージカルでは、25歳以下の方に向けてU-25チケットを1100円で販売する公演もあります。舞台が一部見えづらくなる客席もあるのですが、映画より下の価格設定ですので、若い方に多く観劇していただければと思っています。

◯興味がない世界に飛び込んだ

 

――石川さんがこの世界に入ったきっかけをうかがえますか。

 

私、まったく舞台業界に興味がなかったんです。秋田の出身で、子どものころ、学校に巡回してきた演劇作品を講堂で観たときも心に響かないどころか、自分は絶対にこういう世界には携わらないと決めたくらい(笑)。それで、理系の学校に進学して薬剤師として仕事をしていたのですが、入社した会社のグループ内にヒューマンデザインが設立され、前の代表の相川レイ子から「石川さん、この世界はね、ミュージカルが好きで好きで仕方がない人より、なにが面白いのかさっぱりわからないくらいの人のほうがいいのよ」と背中を押されて配置転換に応じました。

最初のころは本当に何が何だかまったくわからず、ロンドンに勉強しに行って、そこで開幕したばかりの『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』を観劇したんです、80年代でしたから。もう圧倒されてしまって、すぐ日本に「無理です、あんなこと絶対にできません」とFAXを送って帰国したのですが、相川から「今あるものでやるしかないのよ」と活を入れられて創ったのが音楽座ミュージカルの代表作のひとつとなった『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』です。

――どのような想いで、製作者としてのお仕事を続けていらっしゃるかお聞かせください。

 

まず、音楽座ミュージカルを存続させることです。言葉にするのは簡単ですが、これが一番難しい。人生を賭け、夢をもってこの世界に入ってきてくれた仲間たちとクオリティの高い作品を生み出していき、彼らの生活を安定させていくことがなにより大事だと考えています。


株式会社ヒューマンデザイン

取締役

音楽座ミュージカル チーフプロデューサー

石川聖子(いしかわ・せいこ)

秋田県潟上市出身。秋田高校、東京薬科大学薬学部卒業。音楽座ミュージカル創設の1987年より現在までチーフプロデューサーとして参加。

初演の『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』から現在に至るまで音楽座ミュージカル全作品を担当する。


 

「日本の演劇」未来プロジェクト 参加公演

音楽座ミュージカル『リトルプリンス』

2025年7月20日 大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

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